広島高裁の伊方原発運転差し止めは大分県の希望になるのか?

四国電力伊方原発に対し、期限付き来年9月末までの運転差し止めが決まりました。伊方原発は定期検査中であり来年2月に再稼働する予定でしたが、広島高裁の判決が覆らない限り運転を再開できません。当然四国電力は異議申し立てをしますので、今後の動向に注目です。

大分(愛媛・山口)も裁判を起こしていますが、原告側が運転差し止めを高裁で勝ち取った初めてのケースになります。よって大分でも良い結果が出るように考えるでしょうが、はたしてそんな楽観的な考え方で良いのでしょうか?

広島高裁で運転差し止めの決定をした裁判官が、今年で退官が決定しています。この裁判官のキャリアをみると、被爆にとても強い関心を持っています。ただいままで原発に反対を唱えたのは、しがらみがなくなった人たちが多い。政界を引退した政治家を見てみればわかります。

今回の裁判官の決定もそのようにみることができると言われていますが、僕は少し違う見方をします。今回の裁判で担当した判事、特に陪席が地殻変動に関してとても関心を持っていました。決定を下した裁判官が退官だからと言った理由で、劇的的な司法判断がされたと考えるのは尚早だと感じます。

そのうえで「大分でも希望は明るいのか?」という話をしましょう。今回の運転差し止め決定で驚いたのが、火砕流に言及したこと。高裁では火山灰濃度について交わされていたと記憶していますが、阿蘇山の火砕流が大分を通り越して伊方原発までくることを想定したという“斬新な判断”が、大分に影響を与えることになるでしょう。

デヴァステイテイングな阿蘇山がそこまでの被害をもたらす存在になれば、原発どうこうではなく九州は壊滅もしくは全滅。県内も壊滅的な被害を受けることになるでしょう。判例として生まれたのですから前例です。

中央構造線断層帯が大分県の内陸まで続いているという調査結果が先日発表されたことから、地震については現実的な問題です。熊本・大分地震でも、熊本の震源と大分の被害は別と考えられ、大分県内が震源地となっています。誘発したと考えられていることから、中央構造線断層帯への影響が危惧され、その上に伊方原発がある。

この事実こそ運転差し止めの判断材料になると思われましたが、広島高裁は地震と津波に関して四国電力の主張を認めています。あくまでも阿蘇山による火砕流が運転停止の理由となりました。原告側も火砕流が味方になったのは、想定外だったような気がします。

これらについて大分地裁がどのように判断するのか?ここにも注目したい。

また別の観点から大分県は修正を迫られると指摘せざるを得ません。大分県は伊方原発周辺の住民に向けた地震津波による避難計画を立てています。しかし火砕流となると、大分県も壊滅的な被害を受けていることになります。

その場合、受け入れができるのか?大分県への避難は地震と津波で想定されています。佐賀関フェリー乗り場から197号線を中心部に向けて両県の知事がバスで移動しているという間抜けな画が過去放送されていましたが、この計画も物足りない。しかも火砕流となると大分県は受け入れることは到底不可能。それでも大分県が受け入れるというのであれば、県の避難計画はあまりにも無責任です。見直しをしてもらわないと、伊方原発周辺住民を救うことができません。

命に係わる問題ですので、早急に避難計画の見直しを大分県は求められます。廃炉にも時間が掛かります。愛媛県には「残念だけど阿蘇山の火砕流では大分はもう終わっているので、他のところに求めてください」と通達しておくべきです。県の防災危機管理課危機管理班は「従来通りの避難計画を維持」なんて言っていますが、そんな暇はないのです。

そもそも火砕流に関する避難計画を愛媛県が計画していたのかどうか?検索したのですが見つかりません。そうみると今回の司法判断というのは、両県の危機管理にとって想定外の盲点を突かれたのか?そもそも危機管理のプロフェッショナルから見ると荒唐無稽なロジックであるのか?判断に迷います。これに関して両県の主張にも興味があります。

裁判の話に戻りましょう。

大分裁判所で阿蘇山の火砕流に言及するような斬新な判断をすることができるのか?広島高裁では、陪席の判事が地殻変動に強い関心を持っており、裁判官も国に被爆者へ賠償を命じる判決を出した過去がある。地殻変動と被爆に熱心な判事がいたのが広島高裁。

裁判自体が整えられていたことも、今回原告側が勝った要因です。原告側が裁判中にもかかわらず、広島高裁の姿勢を絶賛するほど整えられた裁判だった。それを大分で再現できるのかといえば、疑問が残ります。ここにこそ大分にとってそれほど楽観視できない司法判断のようにも思えるのです。

期限付きの決定というのも、大分への希望として物足りません。四国電力の対策工程完了をまるで待っているような決定と、うがった見方もできるでしょう。今回も裁判所自体が廃炉を突き付けた決定ではないのも事実。ここは勘違いしてはいけません。

大分合同新聞にも言及しておきましょう。県民に向けて、どこまで原発反対へのインセンティブな記事を書けるのかどうか?今日の紙面をみなければわかりませんが、反対派ならではの喜びを隠しきれない記事ではなく、県民に対するインセンティブな内容を求めたい。そこでもうひとつ無視できない問題があります。

もし廃炉するような形になった場合、その地域に住む人たちの生活は破綻することになります。だからこそ法定外新税でそれを賄うように県が努力するべきだという記事を僕は書いたことがあります。県外にも影響を与える原発ですが、そこで働く人たちの「人権や生存権」はどうするのか?

ここを無視しているのも原発反対の市民グループです。それと一緒になっているのも、“公正”を喧伝する大分合同新聞です。こんなときは人権侵害と言わないのですから、本当に驚く“園児じゃーなりずむ”。

これじゃダメなんです。

広瀬知事も地方分権としての在り方で道州制に賛成しているのですから、「法定外新税で大分県の伊方原発に対する覚悟くらい示すべきだ」と、大分ジャーナリズムが社説として書いて良い。伊方原発反対のスタンスを取り続ける大分合同新聞ですが、物足りない内容でまったく中身がない記事ばかり。担当者は何の取材をしているのかと戸惑うくらいです。

まったく大分県民に伊方原発に対してのインセンティブを与える記事が書けていない。これじゃ広島で起きたようなことが再現される大分にならないでしょう。どちらにしても20日に地裁で仮処分審尋が予定されていますので、大分の戦いはこれから始まることになります。

僕は過去に原発差し止め訴訟はただのパフォーマンスと揶揄したことがあります。よってこんな結果が出たことに非常に驚き、熱心に力を入れてきた反対派の方に申し訳なく感じます。謝罪しなければいけません。申し訳ございません。

やり続けることで実ることがある。ことごとく退けられた反対派は、また高裁で負けると誰もが思っていましたが、大きな転機を迎えることになりました。

個人的に今年一番驚いた大分に関する出来事です。

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