吉良先生のメルマガを登録していますが、きっとサイトでも閲覧可能ですので読んでほしい吉良先生の北方領土問題解決案。13回にわけての長いシリーズになっています。大きな感銘を受けましたし、ほぼ吉良先生に同意します。
岩屋防衛相ではありませんが、ロシアとの未来志向のために妥協する2島返還(歯舞・色丹)論は理解しますが「固有の領土には意味がない」については納得できません。外交の根本が揺らぐ暴論です。
固有の領土は当該国によって認識が違う前提がある
北方領土問題の解決策から「固有の領土の主張は意味がない」発言の意図は理解しますが、当該国が主張する領土認識の前提があることを無視して良いでしょうか?
後述しますが、当該国によって認識が違うのも領土問題。
中国の尖閣については文字を踊らせて吉良先生は批判するのに、韓国の竹島についてトーンダウンしてしまう主張も気になりますが、それなのに「固有の領土の主張は意味がない」など吐き捨てる。ソ連の対日参戦によって奪われた領土であり、紛れもない固有の領土が北方四島なのです。
ロシア視点で換言すれば、ソ連が奪ったからロシアの領土でもある主張が通用するのも固有の領土。ロシアからみれば「日本ってアメリカに懐柔されてるじゃん。以前の日本じゃないのよね?憲法も作ってもらった国なんだから旧日本だよ」の論調も生まれる。プーチン大統領の沖縄問題についての発言を汲み取れば、この意図がロシアにはあります。
「外交には相手がいる」ことを強調した吉良先生ですが、「固有の領土に意味がない」と吐き捨てる姿勢は矛盾しています。あくまでも「固有の領土」の主張は捨てるべきではありませんし、その前提として未来志向で「返還や現状維持」を考えるほうが現実的。
「固有の領土に意味がない」なんて吐き捨てるようでは、外交なんて出来るはずもないのです。それが前提になるのが外交です。当該国の主張を理解してから交渉に挑むのが基本姿勢の外交。正直に言うと、今回の吉良先生の主張に驚き呆れています。
オーデル・ナイセ線がドイツ固有の領土?
吉良先生を連合大分というかたちで支援している大分県教職員組合を愛でる大分大学の人権派から、税金でIP偽装する卑劣な行為で「保守だから」を理由に言論封殺を受けることが問題にならない大分であり日本。だから僕は家族と交流があるスイスに夫婦揃って移住を検討しています。
その際いろいろと世話をしてくれることを約束した家族のような旧東ドイツの移民ルーツを持つ彼はこう言うのです。
「プロシア以来のドイツ固有の領土」と吉良先生が言うオーデル・ナイセ線以東は、元々ポーランドの領土だったと主張する人は今でもいるよ。
ポーランドは民主化後に旧体制の主張は放棄したが、語るには何コマも必要な共産主義・ポーランド・ドイツ民族主義が入り混じった激しい思想戦を理解する必要があり「ドイツ固有の領土」と日本の政治家から吐き捨てるように発言されるのは看過できない人もいるんじゃないかな。もちろん「返せ」や「どうでもいい」というドイツ人もいるよ。
さまざまな主張が、オーデル・ナイセ線にはあることを大分県民は頭の片隅に入れておかないといけません。吉良先生が「冷徹な現実を見ろ」というのであれば、ドイツ固有の領土に関する論説も冷徹な現実です。
このような主張を放棄することで、円満な交渉ができるでしょうか?中途半端な領土問題解決は中長期な火種となります。それを未来に政治家が残すのを推奨するのは、どうしても理解できません。当該国の主張となる固有の領土はあくまでもスタート地点であるべきです。
固有の領土の主張がなければ返還も意味がない
今上天皇のルーツは朝鮮半島に由来することはよく知られていることであり、百済の地が根拠とされています。よく百済は日本の植民地だったという言説を聞きますが、僕が知る限り「日本から強い影響を受けた百済」ですが、「植民地」という記載は日本書紀になかったはず。
「固有の領土」にはこのような言説を生み、領土問題を混乱させます。だからこその吉良主張とも受け取れますが、「固有の領土である根拠」を相手に示して、そこをスタートにしなければ「何のための返還であるのか?」が薄れてしまうのです。ここが原点でなければ、北方領土問題すらなくなってしまいます。
国民主権である限り、この視点は国民の問題意識を蔑ろにすることからお粗末としか言いようがありません。だからこそ吉良先生が北方領土問題で主張した「固有の領土には意味がない」は、暴論だと非難しておきましょう。
主張があってこその領土交渉です。
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