中村病院が移転する予定だったパルコ跡地が大分市に売買される契約が結ばれました。最終的に市議会の承諾を得て、土地の引き渡しと開発が始まることになります。
それを伝える大分合同新聞の記事がとにかく酷い。「お上がでてくればもめたくない」と市が民間の入札に参加することを批判しています。大分合同新聞によると、中村病院(恵愛会)がパルコ跡地を購入するまでなかなか買い手が付かなかったというのに、恵愛会が土地購入後移転断念をしてから入札意向する企業が増えたと言います。地価の高騰が誘因かもしれませんが、その理由を明らかにしないのは、マスメディアとして失格です。この部分こそ、大分市民は知りたい。
また不動産関係者によると「30億円以上を提示する企業もある」噂があるようです。市が介入しなければ、もっと土地の価格が上がったと大分合同新聞は伝えています。市教委が大友氏遺跡(たぶん)の調査のため、大規模な掘削を行う開発には2年半以上の文化財調査を必要としました。この市の本気の介入が民間入札を押しのけることになりましたので、その批判をしたいのでしょう。
ただですね、この中村病院の移転って確か官民ファンドが介入しているはずです。現病院の増改築の負担が大きくなり移転の費用を借入できなくなった。建築費用の高騰(これは民間企業の入札撤退の理由にもなっており、大分市の入札参加どうこうではない企業もある)がパルコ跡地移転断念の理由になっており、恵愛会が官民ファンドに支援を要請した経緯があることを忘れてはいけません。
県内最大規模の民間病院であり、年間に2000件以上緊急搬送を受け入れ、地域の医療サービスの面において必要不可欠な存在が中村病院。しかも移転を諦めておらず、別の場所で計画を立てて具体化することをファンドも恵愛会もすでに表明しています。よって市が高い値段で所有するパルコ跡地を購入することで地域医療サービスの充実を後押ししたと、結果的にみることもできるのです。市が市民のために病院を支えたという見方を捨ててはいけません。
この視点を大分合同新聞はどうして無視するのかがわからない。行政介入を「圧倒的悪」と仕立てるから、この視点が置き去りにされてしまいます。
「県都の顔という場所で病院?」という話もありました。目の前に大きな商業施設の駅ビルがあり、並列して老舗デパートが存在しているなかで新しい商業施設ができるようなことになれば、これこそ商店街の有志、先日とりあげた姫野大分大学助教による努力を潰すことになる。商店街を本気で殺しにかかっているような計画を、市が支持するように思えない。だからといって県都の顔に駐車場は悲しい。このような事情で、公園(広場)のビジョンしかなかったとみれば、納得できる話でもあります。
すこし視点を変えましょう。
大分合同新聞がしたいこと。それは第2の森友・加計学園なのでしょう。重大なポイントである地域医療サービスの充実に伴う中村病院別地移転計画の話を一切無視しているのですから、大分のモリカケがしたいとしかみえません。だから見方を提案してみましょう。ここからは僕の思い込みです。
大分市都市計画課の課長レベルのインタビューで「南口に公園があるのに北に必要なのか?」とNHK大分が質問したところ、担当者が「あります」と答えたのが印象的でした。数年前中央通り拡幅工事がありそれが失敗して、大分マスメディアと意識高い系大分市民が市議会を通り越して前市長をスケープゴートにしましたが、この担当者の答えが市の方向性を物語っています。市中心部のあの辺に、にぎわいを創出するなにかがほしい。
釘宮前市長はあくまでもにぎわい頓挫のスケープゴートであり、市の意向・未来像とその方向性は、市長が変わった今でも選択肢は限られていたとみる。中央通り拡幅の目的はにぎわいでしたが、無理な話だった。しかしその青写真と今回の公園(広場)計画って、けっして相容れない未来像ではないんですよね。
パルコ跡地の利用は、最初から公園(広場)だった。
恵愛会に土地を購入してもらい、最終的に行政が主導して土地を高く買い取る。これで医療サービスの拠点を失わせない。森友・加計問題みたいに色めき立つ言い方をすれば、中村病院移転計画の補填ができる。しかもパルコ跡地移転断念の理由は建設コストの高騰であり、文化財調査を理由にあげようとはしなかった。それこそ印象的な出来事です。官民ファンドが入っていることをみれば、こんなことも猜疑的に見ることができます。民間病院と市立の違いになりますので、批判の余地はあるでしょう。
もちろん、そんな証拠がないから使えない。でも森友、特に加計問題なんてこんな勘繰りから発展したクーデター未遂です。マスメディアが本質を徹底して無視し、犯人を作ろうとしたのが加計問題でした。よってこのような猜疑心を持った見方をしない大分合同新聞のスタンスが僕にはわかりません。
勘繰ったり、疑惑をねつ造し、フェイクニュースを垂れ流すのって大手マスメディアは得意とします。憲法9条アンケートで吉良先生への忖度をし、フェイクニュースを垂れ流し、票の扇動を行おうとした大分合同新聞は、この件では本来持つべきジャーナリズム精神を捨て、30億円の噂に縋りました。
どうしても追及したいなら、この筋から攻めるのも面白かったでしょう。「噂」で行政の介入を批判するなんて、大本営ジャーナリズム(アイロニーですよ)としてすごくみっともない姿勢です。真実を伝える正義のマスメディアとして値しない批判も、この際しておきましょう。この土地売買において、結果的に市の医療サービス充実に貢献することを、一切伝えない大チョンボをしたのが大分合同新聞です。
大分合同新聞が伝えるパルコ跡地売買大分市介入ニュースで、県民市民が得られるものって何もありません。誰も救えない行政批判になっており、それは権力の監視機関によるただの自慰です。
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