大分合同新聞夕刊に記者の視点から今の大分を語るキーボード。たまに読み応えがあり今回がそうでした。去年から倍増した大分市の待機児童について、渡辺美加記者が建設的な提案をしています。出生届を出す前にどの園に入園希望であるのかなど。
大分市の目標2019年までに待機児童0を達成できなかった原因は、市民のニーズに応えきれない行政にあります。それに対して、建設的に接する令和時代の記者像を見たような気がします。
市民のニーズを把握した大分合同新聞渡辺美加記者
大分市によると、2019年の待機児童年齢別は1歳が25人2歳が1人(1歳24人2歳1人に大分市が5月末変更)。どちらも配置基準で保育士の数が必要とされる年齢。定員と希望数は均衡が取れていたのに待機児童が生まれたのは、大分市や県が何度も待機児童の弁解に使っている保育士不足が大きな要因です。
そこから見ても渡辺記者が提案する「出生届を出す時にどの園に入れるのかを希望する」のは良い案です。非難だけではなく、提案もできるのが批判ですので、新しいかたちの記者の在り方として歓迎したいです。
配置基準から疑問も
ただしひとつ疑問があります。関係各所から聞いた話で、その裏付けをするために大分市にいくつか質問を送っています。その回答待ちになりますが、渡辺記者の「卒園で空きが出て入りやすい」というのは、子どもを預けたい家庭から見ても少し不親切だと感じます。
保育士不足を生む原因になっている要因はいくつかありますが、大分市のように定員と希望数の均衡がとれていたのに待機児童が生まれた原因になるのが配置基準。
国が定めており自治体によっても変わるのですが、大分市の配置基準は国が定める通りになっています。
- 0歳は3人に1人の保育士
- 1・2歳は6人に1人の保育士
- 3歳は20人に1人の保育士
- 4・5歳は30人に1人の保育士
たとえば渡辺記者がいう卒園した5歳児の枠に、1歳が入ってくるとします。わかりやすく説明すると、30人卒園して今回の待機児童1・2歳が26人入ってきたとすると26÷6で5人(小数点切り上げ)必要になります。今まで1人でできたお世話ですが、4人保育士が必要になる計算です。
大分市の回答によれば、配置基準で園児を迎えられないこともあるとしつつ、進級で配置基準が引き直され4月は入りやすいと認めています。しかし進級で配置基準が引き直されたとしても、新たに希望した児童が1・2歳であれば、保育士はさらに必要になる。実際待機児童が生まれた結果になったのですから、「入りやすい」と弁解されても当該者にとっては納得できるはずもない。
さらにこの配置基準は、きょうだいで同じ園に入れない現象が生まれ、保護者にとっては負荷が掛かる原因であり、実際大分市にも悩んでいる親御さんがいます。
園の施設形態、認可・認可外によっても配置基準が異なります。それでも今回の待機児童問題は、配置基準からの保育士不足が要因であると関係者は言います。
つまり定員が空いているからといってどの年齢でも入れるわけではなく、年齢によって入園が決まる。その原因になっているのが配置基準からくる保育士不足。
空いているからといって入れるわけではない。だからこそ渡辺記者が提案した「出生届を出す時に希望する園を聞く」ことは合理的で、行政サービスを受けやすい案であり歓迎します。
僕の案としては公務員保育士の枠を増やす。認可や認可外にも求められる園に赴任させる制度なんて作れたら、待機児童0に出来た大分市にも見えてきます。
大分市待機児童問題に無関心だった大分合同新聞
待機児童が全国ワースト8位であったことが2017年の大分市議会選前に判明していました。しかし大分マスメデイアの大本営である大分合同新聞は「大分市には喫緊の課題がない」として選挙戦を突入し、過去最低の投票率を記録。
「待機児童の問題は喫緊の課題ではない」と評価していたのは紛れもない大分合同新聞です。少子化が問題になっているのに、1億総活躍を政府が提言しているのに、待機児童問題を喫緊の課題ではないと評価するジャーナリズムの存在。
今回の大分市の目標達成が出来なかった要因が配置基準にあるとすれば、国の体系的な問題になることから国会議員の出番となります。地方議員の尽力がないと特に選挙区選出議員は国会に送り出すことが出来ません。国会議員はボトムアップ型でもあるのです。
立法府の国会議員を支えるボトムアップを担う地方議員は、地域の住民の意見を拾う。まるで情報収集するプログラムのようなクローラーの役割をします。
その役割を担う大分市議会議員で待機児童に関係する子育て世代(20~40代)がどのくらいの割合であるのか、ご存知でしょうか?
議員全体の22%なのです。
これで大分市の待機児童問題が解決できるでしょうか?最初のスタート地点から失敗したのが大分市であり、市民に大分の問題を提供するマスメディアが大失態をしていた過去があります。
自称・権力の監視機関はなにを思う?
大分合同の大失態は、渡辺記者の責任ではないと僕は思います。もともと大分合同新聞は、感覚がズレまくっているのです。
- #MeTooを叫び児童ポルノに警鐘を鳴らすのに、女子中高校生(児童ポルノに該当する世代)にスリーサイズを聞いていた
- 退位礼正殿の儀で安倍首相の言い間違いを糾弾。「ひらがなの国民代表の辞」なのに、「已みません」を「いません」と安倍首相が読み間違えたとオールドメディアの全体主義を疑いもせず、フェイクニュースで、誤字のコラム東西南北を書く
- 大分大学経済学部憲法学の識者である青野准教授の名前を出してまで、女性天皇の議論を広めることを希望する。世論は女系と女性天皇の是非についての議論が始まっています。それを識者である青野准教授が知らないはずがない。これが識者であれば教えてほしいレベル。識者を貶めてまで自身のイデオロギーを正当化しようとする
ざっとあげれば一瞬で大分合同新聞のハチャメチャぶりを指摘できるほど、この新聞社は感覚がズレまくっているのです。できれば良心的で令和新時代の新しい記者の在り方を見せてくれた渡辺美加記者から自社に対しての見解が欲しいくらい。
待機児童の解消ができない誘引になったのが、自称・権力の監視機関大分合同新聞でもあることを忘れないでいただきたい。無償化が始まるからこそ、このような失態は二度と犯してはいけません。権力の監視機関であればなおさらです。
大切なことだから2回書いておきます。
大分市の待機児童問題は、喫緊の課題ではない方針とした権力の監視機関を自称する大分合同新聞が誘引であったことを、特に待機児童で悩んでいる家庭は頭のなかにいれておくことをお勧めします。
全国ワースト7位から改善したのは自発的な市の努力
2016年全国ワースト8位、2017年全国ワースト7位そして2018年に待機児童を改善した全国1位の自治体となった大分市。権力の監視機関も仕事をしない間、自ら反省をし、問題点を炙り出し、子育て世代の要求に応えようと努力してきたのは、大分市と県です。
市議会でも予算を捻出しました。県は保育士の仕事を軽減させる子育て支援員を育成し配置することで、保育士不足を改善しようとしました(待機児童問題を生んだ配置基準に効果があるのかどうかは市に確認中)。
また隠れ待機児童としてあげられる「認可外施設の利用・保護者育児休暇中」も待機児童に含めたのも大分市。これらのグループを含めていない自治体も多いですが、問題を謙虚に顕在化して努力し続けたのが大分市であり、県でもあるのです。
確かに2019年は前年に比べ倍増することになり、ここは反省点です。しかし役所はやるべきことをしていました。今まで問題と認識していなかったのに市の目標を達成できなければ鬼の首をとったかのように、大分合同新聞が大分市を批判するのもおかしいのです。
自治体の絶え間ない努力があったことを僕ら市民は認め、評価しつつ、さらに行政サービスの充実を要求する。こんな大分版「行政と市民の関係」があっても良いのではないでしょうか?
大分合同新聞は良質な記者を潰さないでほしい
渡辺記者のいう「入りたい人が入りたい時に入れる園をつくる」。そのためにできることとして、権力の監視機関大分合同新聞はなにをやっていたのか?ここを強く批判しておきます。
大分合同新聞は渡辺記者のような良心的な記者であり、大分の希望を潰さないでほしい。切に願います。
さいごに。
今回の大分市待機児童問題でいくつか気になる点があり、関係者情報の裏付けのため、大分市からの回答待ちです。その後、必要があれば記事を作成します。
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