さてさて皆さん、お久しぶりでございます。府内頓痴愛でございます。
ポケモンハッピーセットの騒動で、全国的にお店がえらいことになったそうでねぇ。朝から大渋滞、転売に食品廃棄と、まぁ世知辛い話でございます。大分でもクリスマスの舞鶴周辺みてぇに、車がズラーッと渋滞を起こしておりました
そんなマクドナルドさんですがね、私が経験した、それはそれはおぞましい大分(だいぶ)な怪談がひとつございまして。お盆にそれを一席、お付き合いください。
ある夏の日の朝、私はいつものようにランニングをしておりました。昔は店があった場所が、いつの間にか更地になっててねぇ。コロナ禍の時代の流れを感じながら、心拍数を上げていました。
すると草が生い茂る空き地になった場所に、なにやら黒いモンが見えたんですよ。なんだろうかと近づいていくと、ピクピクと動いておる。
こりゃあ、頭だ!
すると、朝練に行こうとしているらしい男子と女子の中学生2人組が、私のそばに立ち止まる。2人ともそれを見て、「人、ですか?」と、まぁ震える声で私に話しかけてくるんです。
大人である私が勇気を出して近づいてみると、茶色い服にストローが刺さったマクドナルドのドリンクカップが見える。そして黒い頭がさらにピクピクと動く。
こりゃあマクドナルドを食べながらなんらの異変が起きて倒れた人だ、と私は瞬時に察しました。
「大丈夫ですか?救急車を呼びます!」と声を掛けながら、ポーチからスマホを取り出す。中学生のカップルらしき2人も、ただ事じゃないと焦っとる。
すると、その頭が急に動いてはいけない方向へグイッと移動したんですよ。
こりゃあおかしい!可動域がおかしい!
私は二人の中学生に「下がれ!」と叫び、自分も後ずさり。すると、その頭がフワリと宙に浮いたんですから、もうこりゃあたまげた。
エクソシストを目指してた時期がある私は、まぁ冷静沈着でしたけどね、中学生男子は「うわぁあああ!」と、それはそれは魂の叫びを上げました。その声で私も思わずビクッとしてしまいました。女子中学生は、手で目を覆っております。
かわいかったですねぇ。大切なものは目に見えないように、見たくないものは目を手で覆えばいい。
宙に浮いた頭は、そのまま空高く飛んでいきます。こりゃあ、救急車どころの話じゃない。警察か?足立大分市長宛となると時間が掛かる。
これは霊障だ!
どこに連絡すればいいのかと、さすがの私も混乱しました。「保険は内田有紀さんだから、稲川淳二さんに電話しなきゃ」と思っても、連絡先は知りません。あんな時でも霊媒師でもない稲川さんの顔が浮かぶんですから、やっぱり偉大なお方ですなぁ。
すると、頭は近くのマンションの一室にピタリと止まったんです。男子中学生は腰を抜かし、女子中学生は「見てない見てない」と、まるで自分に言い聞かせるように呟いておりました。
エクソシストもどきの私は、唖然。高校生の頃に大分県立図書館で読んだ本には、悪霊に取り憑かれた人よりも、病で苦しむ人のほうが圧倒的に多いと書いてあった。病に向き合うのもエクソシストの役目だと。
でも私と対峙しているのは霊で、しかも頭上から私たちを見下ろしとる。
こりゃあ悪霊だ。
「身近に霊は存在する」
しかも早朝、夜の帳も関係なしに、悪霊は私たちと対峙してくる。
私はその悪霊に目を凝らしました。
私の師と仰いでいる映画『エクソシスト』のダミアン・カラス神父を思い出し、例のお祓い?を口にしようとしました。「父と子と精霊となんちゃかんちゃ…」。
「いや、待てよ。なんで母は入ってねぇんか?」と、こんなときにフェミニストの陰がまるで悪霊のように、私につきまとうんですな。
それを祓い、2人の中学生を守るために、私は悪霊と対峙する覚悟を決めました。「降りてこいよ」と、言ったかもしれません。
すると、聞き慣れた音で、悪霊が私にコールアンドレスポンスするんです。
それはカラス!
宙に浮いた頭の正体はなんとカラスだったんです。
茶色い衣服に見えた物体に近づいていくと、よく見るロゴマークがついておりましてマクドナルドの紙袋でした。その横にドリンクカップがあったんです。
紙袋を漁るカラスが人の頭に見え、マクドナルドの紙袋が衣服に見え、さらにドリンクカップが倒れている人だと私たちに確信させた。しかも私だけじゃなく、カップルだと思いたい二人の中学生も同じように勘違いしたんですから、こりゃあ大事件でございます。
人間とは、見方によってはマクドナルドの紙袋が人に見えることもあるんですなぁ。
あんな情けない声を上げていた男子中学生は「怖くねーし!」と虚勢を張り、女子中学生は「めっちゃ大声で叫んでたじゃん!」とクスクス笑いながら、私たちが人と誤認した紙袋を拾っていました。
なんて、素敵なコなんだろう。
この2人はとある夜に枕を並べたときに、この日のことを話すことがあるんでしょうかねぇ?エクソシストもどきである私の動じない大分の大人のあるべきふるまい(あくまでも男子中学生の絶叫で怯んだだけ)と一緒に、この日のことを笑い話にして世代を超えて引き継いでくれたらいいのに。
そんな大分を私は願います。
全国的な問題になっているハッピーセット問題。しかしそれはポケモンの時期だけじゃなく、日常的に見かけるマクドナルドのゴミ問題でもあるんです。土日の早朝、道路上に捨てられているマクドナルドの紙袋なんて、大分でもよく見かけますよね。
そんなことをする輩は、そのうちマクドナルドの紙袋を人と見間違えて腰を抜かし、大好きなマックのドリンクカップに刺さったストローがどこぞの穴に刺さればいいのに。
そして病院で「人体の穴に入れるのは中国のニュースで見るけど、日本人にもいるんだ」と、嫌味のひとつくらい医療従事者から言われればいい。
そんなことを思った、ある夏の日の大分の朝に起きた「だいぶ」な怪談でございます。
お後がよろしいようで。

