院内感染発生のため約600人を検査している大分県。時間が経過していくにつれ、感染者が少なくなっていることに「大分県がコロナ感染者数を隠蔽している」流説も聞かれるようになりました。
陽性と判断された看護師の友人も感染したことから拡大の現状は否定することができませんが、こんな視点を持つことも必要です。
大分県が感染者数を隠蔽?
こんな時に必ず表れるのが、反権力を素地にする陰謀論者です。
前日よりも感染者数が急激に少なくなったことから、大分県が隠蔽している(データが信頼できない)流説がネット上でも見られるようになり、それに賛同する人も多くなっています。
確かに「隠蔽県おおいた」の前科と現行があることからそのような流説が出てくるのも無理はないのですが、ここは落ち着いて万全ではないPCR検査実施と陽性の結果を見てみましょう。
PCR検査実施による陽性は6%程度で今回の検査増強なら40人程度の感染者数

厚生労働省の報道発表であれば、23日12時時点でPCR検査実施数が18322名、陽性1057名。累計の的中率は約6%ほどです。
これに今回大分県の院内感染から実施する約600名に当て嵌めると、40人に満たない数の陽性者数となります。
「県ではなく厚生労働省が嘘をついている」を持ち出す陰謀論者に立ち向かうことはできませんが、このような数字もあることを知っておけば「広瀬は感染者数を隠している!」や「データが信頼できない」に賛同するのは、滑稽に見えるでしょう。
有症者数からみれば陽性反応は優秀になる
「6%!?」と驚かれるでしょうが、別の角度から見てみましょう。
陽性者数からコロナ感染を疑う有症者をみれば、約89%の優秀な反応を示します。
23日12時現在、陽性者数1057名に対し有症者数944名。つまり有症者数は陽性反応が起きやすい。症状が出ていることから検体を採取しやすいのが要因になりますが、医療従事者の感染リスクが高まります。
疑わしい有症者の検査推奨には賛同しますが、問題はどこで行うのかです。発熱外来なんて言いますが、11%は陽性反応が出ていないことから、その少数派に感染リスクを負わせるほどの勇気と責任が県に求められます。
一般市民が発言するのは簡単ですが、実行責任は自治体に求められ、僕ら一般市民には責任が生じないことを理解して県内世論を高める必要があります。
その県内世論が「感染者数を隠蔽している陰謀論者発祥」から蜂起されれば、大分県のイタリア化はまったなしです。
今取るべきことは「感染しない」ことに加えて「感染させないようにする」こと。風邪のような有症者はなるたけ出歩かない対応が県民に求められます。
私権を国家権力を持って制限することに無理があるいま、「お願い」することしかできません。
県も優先順位で検査をしている
今回の県による検査実施は優先順位を付けています。
有症者や極めて濃厚接触と判断された人から優先的に検査を行っていることから、最初は爆発的に感染者数が出て、検査の経過に伴い感染者数も必然的に落ち着いてきます。
隠蔽ではなく検査の優先順位から起きた感染者数の推移です。
新たに看護師の感染報道がありました。こちらは今回の検査対象外になることから感染拡大の不安は拭うことができません。しかし陽性反応を示した看護師の友人ということで、検査実施の優先順位が上がったことで発覚したと見るのが妥当。
県が適切に対処できていると判断することもできます。
マスメディアは県内の権威を使って隠蔽陰謀論の掻き消しを
大分県が意図的にコロナ感染者数を隠蔽しているといった流説は、大分マスメディアが掻き消す必要があります。県内の大学で統計に詳しい先生を呼びメディアで説明をすれば、この流説に県民が惑わされることはありません。
一般市民は権威に弱いのですから、ここを利用するのもマスメディアの役割です。
陰謀論者発祥の世論形成が関係者を追い詰めていく懸念も、県内で考慮しなければならないと感じます。
コメント