携帯を忘れて連絡が取れないと悪評な僕が、財布を持たずにスマートフォンを持つようになりました。これが便利なもので、何かしらの合いの手で支払いを済ませてくれます。
ここ最近、現金もクレジットカードも触っていないこのコロナ禍で、スマートフォンを持つ習性がついたことで起きた姪と万引家族のように見えたであろうお話をするのは、oitaが過ぎるでしょうかね?
3回の更新予定です。
1・スマートフォンを使って自動販売機の支払いを姪に見せたら万引家族
20年8月15日更新
Coke ONは便利だ。ランニング中であってもコカ・コーラーの対応自動販売機があることでドリンクが買える。
ひとつ年が上の姉の娘を預かった。
このご時世、マスクをつけていない4歳児をスーパーに入れることで対峙する可能性がある「マスク警察」を想定し、妻ちゃんひとりでお買い物。その間、周囲を散歩していると見つけたコカ・コーラの対応自動販売機。
スマートフォンによる支払いを姪に見せたくなった。新しい世界に触れた時の反応が素晴らしい姪。
今年の初め頃、「麒麟が来る」でキリンが登場しないことを伝えると、「ダーウィンが来た」の延長線上で鑑賞した姪はテレビに向かって「うそはいけません」と指差し、そしてなぜか僕は家族から白目で見られた。
そんな君に見せたい世界がある。お金なしでドリンクが買える世界を。
姪の世界では、お水とお茶と100%のフルーツジュースと牛乳しか今のところ存在しないドリンクの世界。自動販売機の世界では「ソウケンビチャ」と「ムギチャ」は許容されている。
それらの名前を出すと「ちょうど飲みたかったんだよね」なんて言う。おませさんめ。
スマートフォンとリンクさせて商品を選び、最後のスワイプ操作は姪にさせよう。「触ったままシュッてして」というと「シュッ」と声を出してなかなかのスワイプ操作を見せてくれた。
そして出てきたドリンク。それに驚く姪。麦わら帽子を両手で抑えるように頭を抱える。
良いリアクションだ。ソウケンビチャを自販機から取り出し手渡そうとすると彼女は言うのだ。
「お金がないと買えないんだよ!」
大きな声で主張をし始めた。おいおい、スーパーのお客さんが見ているではないか。
「大きな声を出したらマスク警察に怒られるぞ」とこちらの世界観で茶化しながら諭すと、これがまずかった。
「けいさつ?お金で買わないとけいさつに逮捕されちゃうんだからね」
どうやら刺激をしてしまったようだ。マスク警察は本物の警察を彼女のなかに呼び込んでしまった。
姪の世界はもう「いぬのおまわりさん」は存在しない。本物の警察が息をして「逮捕」のワードまでも理解をしている。「飲み物をお金なしで飲んでしまえば逮捕される」世界観が存在しているのだ。
「わんわんわーん」のようなおまわりさんは、もう彼女のなかにいない。
周囲の視線が変わった。かわいらしい女の子から「お金と警察と逮捕」のパワーワードが出てしまえば、これじゃ僕らは万引家族ではないか。
2・正義ガールの血を引く姪は万引家族を許さない
20年8月16日更新
ひとつ上の姉を「お姉ちゃん」なんてありきたりな言葉で呼んだことがないほど、僕らは姉弟の垣根を越えている。
中学生の頃は「正義ガールの弟」なんて呼ばれた経験があることから、一部界隈では揶揄されるほど曲がったことが嫌いな性格がひとつ上の姉だ。
そんな姉は、男女問わずモテた。高校の頃「女の子が好きっていったらどうする?」と聞かれたことがある。「何が変わるのかを教えてほしい」と聞くと、「そういうところ好きよ」と言われて照れてしまった。
制服のスカートが短くて「みえ」な状況や、しゃがんで見える「峡谷」に僕は鍛えられたので、そこら辺の男子のようにラッキースケベの下品な反応を僕は知らない。
内心の自由の奥深さを植え付けてくれた姉を心から尊敬している。
姪はそんな正義ガールの血を引いている。
「スマートに買ったんだよ」と自分の失われた語彙力に嫌悪するほど僕は動揺していた。すると姪は「お店の人はいますか?」と自動販売機に話し掛けている。ドアを開けるかのようにおつりのレバーを扱いそうな勢いだったので、このご時世であることから制止した。
姪は自動販売機のなかに人がいると思っている?
姪は警察と逮捕を知っている。メルヘンな世界に卒業したはず。それでもまだ4歳児。ありえない話ではない。そういえば思い出した。コインパーキングで「お釣りがでます」で反応した時、「喋ったあー」と驚いていた。
姪は自動販売機のなかに人がいると思っている。
「お金を出さないで飲み物が出てきましたよ。警察に逮捕されるから出てきてください」としゃべりかけている。
「形勢逆転」と思ったが、4歳児から「お金・警察・逮捕」が出てくればどちらにしても周囲からみれば僕らは万引家族。
本物の万引き家族で描かれている子どもへの扱いは、僕らの万引家族にはない。逐一この状況を確認せずに、姪が発する言葉だけを拾っていけば、僕を悪党の棟梁とした万引家族だ。
形勢なんて何ひとつ変わっちゃいない。
こんな時に限って「ちいさなおじさん」を思い出した。ちいさなおじさんを店員とすれば切り抜けられると一瞬考えた僕自身を愛おしくなるが、とりあえず姪は万引家族ワードを出さないでほしい。
どうすれば良いかと考えていると、店員さんを見掛ける。
最終・子どもの扱いに慣れている経験値に圧倒される(更新)
20年8月22日更新
僕は「すみません」と店員さんに声を掛ける。
母親くらいの店員さんに「キャッシュレスで買いました。よって僕らは万引家族ではありません」と端的にそんなことを言う。
周囲に万引家族のように見えている危機感に陥ると、何も知らない店員さんにこんなことを言ってしまう。なんら悪いことをしていないのに自己正当化する自分の弱さを知る。
察してくれた店員さんは微笑んでいた。
「お金を入れなくてもここから出てきたの」と主張する姪に店員さんは「これは大丈夫なんだよ」と優しく諭してくれる。「どうして?」と聞く姪に「魔法を使ったんだよ」という店員さん。
「これを使えば買えるんだよ。でも使いすぎると使えなくなっちゃう魔法なんだよ」と僕のスマートフォンを指差す店員さん。
ぱあぁと表情が明るくなる姪。
なに、この店員さんすごい。
過去に保母さんだったはず。労働環境が悪くて保母さんを引退して、このコロナ禍で僕らの生活の安定を支えているスーパーの店員さんになったのかもしれない。
待機児童全国ワースト7位だった大分市。そんな市に「喫緊の課題がない」とし市議会選挙の突入を許し、過去最低の投票率記録更新に貢献した権力の監視機関・大分合同新聞の生活に関心が高い系女性記者を思い出した。
姪は万引家族のワードを出さなくなった。
店員さんにお礼をいうと「私にもこの娘くらいの孫がいるんですよ」と聞いてもいないことを話す。この瞬間、子どもは国の宝の意味に触れたような気がした。
僕ひとりではなにもできなかった。oitaの危機感を煽る僕が語れない優しい善良なoitaがここにあるのだ。
帰りの車内で万引家族になりかけた話を妻ちゃんに話すと、姪にしたり顔で「ちいさい店員さんがあの箱には居て・・・」。
そういえば、最近僕らは仲が良い姉弟と勘違いされた。しかし姪は小さい店員さん説を否定する。
「使いすぎたら使えなくなる魔法なんだよ」
特定野党支持者の護憲派教育者が、税金を使って「私費で行う表現・思想・言論の自由」を侵害できる大分県。
これらの自由は憲法で保障されている基本的人権の根幹です。
公務員を想起する特定野党支持者の護憲派が憲法を知らない絶望的で恥辱的な大分県に、表現・思想・言論の自由は本当に存在しているのか?
だからこそ挑戦したい企画・「oitaが過ぎるでしょうか?」。不定期連載。
コメント