豊後大野市で広範囲にわたって地割れが確認されている問題で付近住民に避難勧告が出されました。市と県の状況調査の結果、地割れが広がっていることが確認されています。この地割れに対して地震の前兆とネット上では流れており、それを見た大分県民が不安を感じています。
熊本地震の被害と影響で大分も観光客が減少しました。国や別府・湯布院をはじめとする各観光地の努力によって観光客を取り戻していますが、いまこの地割れ問題による風評被害によって、また落ち込むようなことがあってはいけません。その努力は大分県民であればわかるはずです。血が滲むような努力をしてきました。それが科学的な見解なしにデマだけで崩されるというのは大分県民として黙っているわけにはいきません。もちろん災害に備えることは大切ですが、デマで損失を受けることは切り離さす必要があるでしょう。だからこそ大分県はこの地割れ問題について、はっきりとした見解を述べるべきです。
地震予知にしても、現在の科学技術では難しいことがわかっています。唯一できるのは東海地震。その前兆をとらえるために駿河湾付近からその沖合を震源とする東海地震のみ、各種の観測機器が設置されて常時監視されています。その前兆と思わしき現象が起きたときのみに、気象庁から国民にお知らせをするという体制が整えられているはずです。
現在は研究のために京都大学や東京大学の調査チームが日向灘を監視していますが、このように常時監視されていない状況での地震予知は難しいのが現状。「東海地震以外ではデマ」と気象庁もはっきりと注意喚起しています。今月13日に福岡で大きな地震が起きるというデマが流れましたが、それが誤差を起こして豊後大野市に起きるといった情報も流れ始めていることから、デマの終息は極めて難しいことが顕在しています。
だからこそその終息のためにも、「地震前兆による地割れ」なのかをまずはっきりとさせるべきです。「地震の前兆としてこのようなことが起こり得るのか?」だけでもはっきりとさせれば、それだけで無意味に怯える必要はありませんし、風評被害を受けることもありません。
豊後大野市といえばジオパークで観光客を呼び込もうとしています。無意味な情報によって風評被害により大きなダメージを受ける前に、専門家の口からその可能性について、そしてこの地域で今後起こり得ることについて、はっきりとさせるべきです。県が主導して責任を持って県民を守ってほしい。この対応こそ、今後このようなことで起きる無意味なデマに振り回されないための全国に向けたモデルにもなるでしょう。
もちろん地域に住んでいる方の不安と普段の生活を取り戻すことも大切です。原因を突き止めるには時間が必要だと感じますが、デマの排除もしくはその可能性について、専門家の見解を求めるにはそれほど時間が掛からないはず。早急に県は取り組むべきです。
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