ザリガニの鳴くところの感想 過酷だが意外と恵まれた環境

帯はいかにも「生きて!」を主張していたことから、あらすじから過酷な環境に置かれ報われない少女の物語のように想像していました。

確かに過酷な環境ですが、ここ一番で意外と恵まれていた安心する物語です。

ザリガニの鳴くところには正常な社会の善良な人たちが居る

親や兄弟からも捨てられ孤独に湿地で生きていく少女ですが、周囲の豊穣な自然と共に過ごすことで自我が芽生えていく。

同じ想いを持つ少年との出会い、つまらない男との甘い恋も体験し、そして事件に巻き込まれていく。

予想を超える展開と書かれているあらすじ。

確かに想像を超えるかもしれませんが、意外と善良な人たちが周囲に存在することから「彼女の未来」はそれほど悲劇的な場所には着地しません。

希望がありますので悲劇的な物語を予想している方は、安心してください。

感想として「意外と恵まれた環境」

確かに過酷な環境です。

親と兄弟は離れていく。街は貧困と黒人への差別が剥き出し。しかし迫害されていく人たちで築いたコミュニティーに属することで、少女は生き方を学び、強く生きていきます。

甘い恋のせいで事件に巻き込まれ自暴自棄になることもありますが、公平であるべき人たちが善良である正常な社会であることから、読書を続けることでその後の展開予想はそう難しくないでしょう。

どんな人にも平等に幸せがあるなんて歌うバンドもありますが、「過酷な環境から幸せを掴んでいく物語」の感想が最も落ち着きます。

ザリガニの鳴くところの艶文

「つまらない男ほど騒がしい音を立てたがるものよ」

ザリガニの鳴くところから

湿地の少女が、辛い日々のなかで見つけた穏やかなお母さんとの日々を思い出したときの言葉です。

男性との付き合いを避けられなくなった姉たちに向けたお母さんの言葉を、まだ小さい頃のおませな女の子が覚えている。「それなのに…」との想いもありますが、恋は盲目とよく言ったものです。

僕もお母さんに同意します。

つまらない男は騒がしい。

公道を走る車やバイクのエンジン音を撒き散らす男を見ていると、いつもお母さんの言葉を思い出します。

印象に残っているザリガニの鳴くところの艶文です。